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洋上救急事業

海上の傷病者を救う世界唯一のシステム“海の救急医療”。
昭和60年の設立以来、出動は853件、救助人員は886名を数えます。
(平成29年4月10日現在)


洋上救急の概要(動画)

 下記より洋上救急の概要(動画)を見ることができます。

洋上における医師の派遣は、人命救助と船員福祉という人道的観点にたって1985年10月より日本水難救済会の事業として開始されています。
洋上救急事業は、医師を洋上へ派遣して、救急医療を提供する世界で唯一のシステムです。
本動画は、洋上救急の概要をまとめた動画です。
なお、洋上救急の概要(英語版)もYouTubeで聴取することができます。


船舶で傷病者が発生すると…

 我が国の周辺海域においては、遥か洋上の船舶内で傷病者等が発生し、緊急に医師の加療を必要とする場合、海上保安庁の巡視船・航空機等で医師・看護師等をその船舶まで急送して応急治療を行いつつ、最寄りの病院に救急搬送しています。

通報から救急まで

慣熟訓練

 洋上救急では、医師や看護師は巡視船やヘリコプターに乗組み、遥か洋上まで出動し、厳しい自然条件や巡視船・ヘリコプターの動揺、騒音等の悪条件下における救命治療が必要とされます。
 このため、全国各地域では多数の医師・看護師が訓練に参加し、ヘリコプタ−等に搭乗して訓練を行うなど、現場の状況を実際に体験して出動に備えています。



ヘリコプター搭乗訓練ヘリコプター搭乗訓練
 洋上救急の現場に向かうヘリコプターに搭乗する際の注意事項等を予め確認しておくことが必要です。





ヘリコプター機内での処置訓練ヘリコプター機内での処置訓練
 ヘリコプター機内は狭く騒音や振動が伴うので状況を体験するため訓練が必要です。

(写真提供:海上保安庁)


出動事例

  • 平成29年3月18日 08:55発生
    【発生位置】
     愛知県伊良湖岬灯台から南東約41海里
    【船種等】
     貨物船(総トン数17,018トン 乗員22名)
    【傷病者】
     男性 46歳 船長(中国籍)
    【傷病名】
     急性腸炎
    【出動医療機関、医師等】
     名古屋掖済会病院(医師1名、看護師1名)
    【出動勢力】
     海上保安庁 中部空港海上保安航空基地 ヘリコプターMH714
     潜水士2名


    【洋上救急活動状況】
     3月18日午後8時55分、伊良湖岬灯台から南東約22キロメートル付近航行中のパナマ国籍貨物船から第四管区海上保安本部司令センターへ「船長が体調不良を訴えている。」旨の通報あり。要請者から洋上救急の要請を受け発動に至ったもの。
     18日午後11時45分 MH714中部空港出発(医師1名、看護師1名及び潜水士2名同乗)。19日午前0時05分 MH714 該船舶と会合。午前0時15分 MH714患者吊上げ作業開始。午前0時34分 MH714吊り上げ作業完了。午前1時00分 MH714中部空港到着。午前1時07分 患者を常滑市消防救急隊に引継いだ。



  • 平成29年2月9日 17:40発生
    【発生位置】
     千葉県犬吠埼から113度約250海里
    【船種等】
     貨物船(総トン数92,071トン 乗員22名)
    【傷病者】
     男性 53歳 甲板長(フィリピン国籍)
    【傷病名】
     脳出血
    【出動医療機関、医師等】
     日本医科大学付属病院(医師1名)
    【出動勢力】
     海上保安庁 羽田航空基地 ヘリコプターMH806
     特殊救難隊員 3名


    【洋上救急活動状況】
     2月9日午後5時43分 該船舶より「左腕、左脚が麻痺し、会話と自力歩行ができない乗組員がいる」旨の連絡があった。第二管区海上保安本部より横浜保土ヶ谷中央病院あて傷病者の状況を説明したところ、午後6時33分「早急に病院に搬送する必要がある」旨の医療助言を受け、該船舶経由で同船船主へ、洋上救急の費用負担について説明したところ、午後6時58分 船主より「必要なすべての支払いに同意し、洋上救急を要請する」旨の連絡があった。2月10日午前5時00分 日本医科大学付属病院医師1名、羽田航空基地到着。午前7時05分 羽田航空基地MH806、同医師及び特殊救難隊員3名同乗のうえ羽田空港を出発。午前8時22分 MH806、羽田空港東方150海里沖合にて該船舶と会合。午前8時46分 患者吊り上げ機内収容完了、現場離脱。午前10時20分 MH806羽田空港着、患者及び医師1名降機。午前10時40分 患者を東京消防庁救急隊に引き継いだ。



  • 平成29年1月28日 14:14発生
    【発生位置】
     沖縄県石垣島から190度82海里
    【船種等】
     貨物船(総トン数40,322トン 乗員25名)
    【傷病者】
     男性 35歳 甲板員(フィリピン国籍)
    【傷病名】
     右精巣炎
    【出動医療機関、医師等】
     沖縄県立八重山病院(医師1名)
    【出動勢力】
     海上保安庁 那覇航空基地 ヘリコプターMH974
     機動救難士2名


    【洋上救急活動状況】
     1月28日午後2時14分 該船舶管理会社から「貨物船船内にて、乗組員1名が1月24日から片側睾丸の腫れと排尿時の痛みを訴えており、27日に医療指示を受け、処置を行ったが、28日には高熱及び症状の改善がみられないことから救助してほしい」との通報が入った。午後3時30分 海上保安庁から運航管理会社に対して洋上救急の要請について確認したところ、運航管理会社が正式に要請したため、八重山病院へ医師の派遣依頼を行なった。午後5時00分 機動救難士2名が同乗した那覇航空基地MH974が石垣航空基地に着陸し、八重山病院の医師1名が同乗のうえ石垣空港を出発。午後5時37分 同船から患者の吊り上げ機内収容を完了。午後6時03分 石垣島真栄里ヘリポートに到着。午後6時05分 患者を石垣市消防救急隊へ引き継いだ。



  • 平成29年1月20日 13:05発生
    【発生位置】
     東京都八丈島の東南東730 海里付近
    【船種等】
     LPG船(総トン数46,796トン 乗員23名)
    【傷病者】
     男性 35歳 甲板員(フィリピン国籍)
    【傷病名】
     虫垂炎
    【出動医療機関、医師等】
     日本医科大学付属病院(医師2名)
    【出動勢力】
     海上保安庁 羽田航空基地 ヘリコプターMH691
     特殊救難隊員3名


    【洋上救急活動状況】
     1月20日午後1時05分 該船舶の管理会社から第三管区海上保安本部運用司令センターに対し、三等航海士が腹痛を訴え、船員保険無線医療センター医師に医療助言を求めたところ、虫垂炎の疑い、至急医療機関の診療が必要であるとの指示があったとの連絡あり。午後2時36分 同管理会社から第三管区海上保安本部運用司令センターに対し、正式に洋上救急による救助要請があった。23日午前6時00分 特殊救難隊員3名及び日本医科大学付属病院医師2名同乗のMH691羽田空港出発。午前6時30分 野島埼東南東約19海里付近にて、MH691該船と会合。午前6時47分 機内に患者1名吊上げ収容完了。午前7時20分 MH691羽田基地到着。午前7時31分 患者1名を東京消防庁救急隊へ引継いだ。



  • 平成28年12月2日 18:00発生
    【発生位置】
     米国グアムの南420海里付近
    【船種等】
     自動車専用船(総トン数60,143トン 乗員24名)
    【傷病者】
     男性 40歳 甲板員(フィリピン国籍)
     男性 46歳 甲板員(フィリピン国籍)
     男性 31歳 機関員(フィリピン国籍)
    【傷病名】
     火傷
    【出動医療機関、医師等】
     日本医科大学付属病院(医師3名)
    【出動勢力】
     海上保安庁 羽田航空基地 航空機LAJ500
     特殊救難隊員4名
     海上自衛隊 救難ヘリコプターUH-60J


    【洋上救急活動状況】
     12月2日午後6時頃、甲板員がバーベーキューの準備で、炭を燃やそうと着火剤を火源にかけたところ、火が急に大きくなり、薬剤が飛び散って火傷を負った。同月5日洋上救急の要請があった。6日午前2時30分 LAJ500(特殊救難隊員4名、医師3名及び検疫官1名同乗)羽田空港出発。午前4時40分 LAJ500 硫黄島到着。午前5時46分 UH-60J 該船向け硫黄島出発。午前5時55分 UH-60J 該船と会合。午前6時00分 救助員2名該船に降下。午前6時28分 患者3名をUH-60Jに収容完了。午前6時38分 UH-60J 硫黄島到着。午前6時48分 患者3名をLAJ500に引継いだ。午前7時25分 LAJ500硫黄島出発。午前9時20分 LAJ500羽田到着。午前9時26分 患者3名を東京消防庁救急隊に引継いだ。



  • 平成28年11月11日 07:05発生
    【発生位置】
     鹿児島県坊ノ岬西約138海里
    【船種等】
     旅客船(総トン数70,606トン 乗員821名 乗客1,865名)
    【傷病者】
     男性 66歳 乗客(中国籍)
    【傷病名】
     脳梗塞・急性期2型糖尿病性ケトアシドーシス
    【出動医療機関、医師等】
     米盛病院(医師1名 看護師1名)
    【出動勢力】
     海上自衛隊 救難ヘリコプターUH60J

    【洋上救急活動状況】
     11月10日午後4時30分 鹿児島を出港し中国上海向け航行中であった該船から、乗客が11月8日ころから嘔吐、右目の視界が定まらない症状が発症しており、11日午前4時30分ころ、右側手足にしびれが生じたことから該船乗船中の医師が診察したところ、脳卒中の疑いがあると診断され該船船長が一般電話にて第十管区海上保安本部運用司令センターあて救助要請があった。
     該船の位置が海上保安庁鹿児島基地所属機の進出距離外のため対応困難であることから、海上自衛隊第一航空群,鹿児島市所在の米盛病院,代理店等と調整の上,海上自衛隊第一航空群に災害派遣要請を行った。同日午前9時32分 海上自衛隊第一航空群所属UH60Jが鹿屋基地を出発。午前9時48分 マリンポート鹿児島にて米盛病院医師1名、看護師1名を同乗させ該船向け出発。午前11時該船と会合。午前11時28分 該人及び付添人1名を海上自衛隊第一航空群所属UH60Jに収容し午後0時30分マリンポート鹿児島到着。午後0時48分 鹿児島市消防局救急車にて米盛病院に搬送された。


    (写真提供:海上自衛隊)
  • 平成28年10月18日 12:00発生
    【発生位置】
     鹿児島県種子島北東約13海里
    【船種等】
     貨物船(総トン数16,962トン 乗員17名)
    【傷病者】
     男性 61歳 甲板員(台湾国籍)
    【傷病名】
     急性心筋梗塞
    【出動医療機関、医師等】
     米盛病院(医師1名 看護師1名)
    【出動勢力】
     海上保安庁 ヘリコプターMH976
     機動救難士2名


    【洋上救急活動状況】
     傷病者は、10月18日正午ころ腹痛を訴え、午後1時28分 乗船中の該船船長から第十管区海上保安本部運用司令センターあて救助要請があり、医療指示を受けるよう指導したところ、午後3時30分「医師を乗せて救助の必要あり」との医療指示を受けたことから、午後3時40分洋上救急の要請があった。
     該船は志布志湾口付近にて待機状態とし、鹿児島基地所属MH976に機動救難士2名同乗し鹿児島空港を出発、途中、米盛病院ヘリポートにて医師、看護師計2名を同乗させ、午後5時38分 MH976に傷病者を収容し、午後6時05分米盛病院屋上ヘリポートにて医師等2名及び患者を病院に引き継いだ。



  • 平成28年10月18日 11:58発生
    【発生位置】
     東京都硫黄島南西沖約250海里
    【船種等】
     貨物船(総トン数75,254トン 乗員21名)
    【傷病者】
     男性 37歳 甲板員(フィリピン国籍)
     男性 49歳 溶接工(フィリピン国籍)
    【傷病名】
     火傷
    【出動医療機関、医師等】
     日本医科大学付属病院(医師3名)
    【出動勢力】
     海上保安庁 羽田航空基地 航空機LAJ500
     特殊救難隊員2名
     海上自衛隊 救難ヘリコプターUH-60J


    【洋上救急活動状況】
     10月18日午前11時58分 硫黄島南西約250海里付近を航行中の該船から第十管区海上保安本部運用司令センターを介し、第三管区海上保安本部運用司令センターあて、同船船内にて乗組員2名が負傷したとの一報があった。午後1時55分 該船船主から正式に洋上救急の要請を受けた。19日午前2時57分 LAJ500に特殊救難隊員2名、医師3名及び検疫官2名同乗、硫黄島向け羽田空港出発。午前4時44分 LAJ500硫黄島到着。午前5時00分 海上自衛隊航空救難団司令、災害派遣要請受理。午前5時36分 UH-60現場向け硫黄島発。午前6時40分 UH-60該船会合。午前7時10分 負傷者を機内に収容した。午前7時23分 UH-60硫黄島到着、負傷者をLAJ500へ引継いだ。午前8時40分 LAJ500羽田空港向け硫黄島出発。午前10時37分 LAJ500羽田空港到着。午前10時44分 患者を東京消防庁救急隊に引継いだ。



  • 平成28年10月7日 12:00発生
    【発生位置】
     東京都南鳥島から真方位128度520マイル付近
    【船種等】
     漁船(総トン数630トン 乗員25名)
    【傷病者】
     男性 27歳 乗組員(ベトナム国籍)
    【傷病名】
     頭部損傷
    【出動医療機関、医師等】
     日本医科大学付属病院(医師2名)
    【出動勢力】
     海上保安庁 巡視船しきしま ヘリコプターMH686
     特殊救難隊員2名


    【洋上救急活動状況】
     10月7日午前10時05分 南鳥島南東520海里付近を航行中の該漁船から韓国MCCを介し、海上保安庁運用司令センターあて、船内で消火器が爆発し、乗組員が、頭部を負傷したと通報があった。午後0時00分 韓国MCCから本庁司令センターへ正式に洋上救急要請あり。午後9時08分 羽田基地所属MH686に日本医科大学付属病院医師2名及び特殊救難隊員が同乗し、巡視船「しきしま」向け羽田空港出発。午後9時12分 該船船主から該人は、死亡したため、救助してもらう必要はなくなったと第三管区海上保安本部運用司令センターへ電話連絡あり。午後9時38分 MH686しきしま着。午後9時53分 韓国MCCから第三管区海上保安本部運用司令センターあて、該人死亡のため、本件救助要請を取り下げるとの正式連絡あり。午後11時26分 MH686にて日本医科大学付属病院医師2名及び特救隊員、羽田空港到着。



  • 平成28年10月5日 00:21発生
    【発生位置】
     沖縄本島から南西約85海里
    【船種等】
     貨物船(総トン数1,488トン 乗員10名)
    【傷病者】
     男性 56歳 機関長(日本国籍)
    【傷病名】
     飲酒によるミネラルバランス不調
    【出動医療機関、医師等】
     琉球大学医学部附属病院(医師1名)
    【出動勢力】
     海上保安庁 那覇航空基地 ヘリコプターMH974 航空機MA721
     機動救難士2名


    【洋上救急活動状況】
     10月5日午前0時21分 沖縄本島南西沖を航行中の該船から一等機関士が胸の圧迫感、吐き気及び手足の痺れを訴えている旨通報があった。午前0時45分海上保安庁から船主に対して洋上救急の要請について確認したところ、船主が洋上救急を正式に要請した。午前2時07分 那覇航空基地所属のMH974が医師及び機動救難士を同乗させ那覇空港を出発。午前2時57分 同船から傷病者の吊り上げ収容を完了。午前3時22分 那覇空港に到着。午前3時29分 患者及び医師を救急隊へ引き継いだ。






    洋上救急発生海域図(平成29年4月10日現在 853件)

    洋上救急海域図